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2024.04.24
あなたの世界をちょっとヨクスル~車載用リチウムイオン電池編・その1~
電気自動車に欠かせない「リチウムイオン電池」。ここにもスワコーの断熱材や熱伝導シートの加工技術が欠かせません。なぜ、それらの技術が必要なのか、今回から3回に分けてリチウムイオン電池の基礎から解説していきます。
Q,そもそも「リチウムイオン電池」とは何ですか?
A,二次電池(蓄電池)の一種です。
電池は「化学電池」「物理電池」「生物電池」に大別されます。その中で化学電池は「一次電池」「二次電池」「燃料電池」に分かれます。一次電池は使い捨て電池のこと。代表的なのが「乾電池」です。そして、二次電池は充電して繰り返し使える電池、いわゆる「蓄電池」のこと。リチウムイオン電池はここに分類されます。
Q,リチウムイオン電池が登場したのはいつですか?
A,1991年に日本のソニー・エナジー・テックが世界で初めて量産化しました。
1950年代に金属リチウムを用いた「リチウム一次電池」が登場。その後、アメリカを中心に金属リチウムの二次電池の開発が進められましたが、デンドライト(樹状結晶)による発火事故で、商品化は実現できませんでした。そこで金属リチウムの代わりに、リチウムイオンを用いる電池の開発がスタート。断熱材や熱伝導シートといった部材の活用もあり、量産化に至りました。
Q,リチウムイオン電池は何がスゴイのですか?
A,2019年にノーベル化学賞を受賞したほど、画期的な電池です。
画期的なのは「小型で軽量ながら多くの電気を蓄えられる二次電池」という点です。これまで大量の電気を蓄えるには、それに見合った大きな器(電池の大きさ・重さ)が必要でした。ところが、リチウムイオン電池は大量の電気を小さくて軽い器に蓄えられるように。リチウムイオン電池のおかげで、スマートフォンやタブレット、パソコンなどが小型化・薄型化を実現できたと言えます。
Q,リチウムイオン電池はどのような仕組みですか?
A,電池の中の電解質をリチウムイオンが移動することで機能します。
負極(マイナス極)に黒炭、正極(プラス極)にリチウム金属酸化物(*)を配置。電解質には高分子ゲル(有機溶媒)を使用します。そして、電解質内で電極間をリチウムイオンが移動することで電池が機能します。安全性のため、部材には断熱材や熱伝導シートも活用されています。
*リチウムイオンを含有するコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム。さらには、コバルト酸リチウムのコバルトの一部をニッケルとマンガンに置換したもの(三元系)、酸化ニッケルリチウムのニッケルをベースに一部をコバルトで置換し、アルミニウムを添加したもの(ニッケル系)があります。
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地球環境問題に配慮した脱石油の動き。そこから生まれた電気自動車を支えるのが「リチウムイオン電池」です。従来の電池よりも軽くて小さいながらも、非常に大量の蓄電が可能。しかも、放電後は充電できるので、繰り返し使えるのも利点です。コンビニエンスストアや道の駅などの駐車場の片隅で車が充電している様子を目にした人もいるはず。あれは車載リチウムイオン電池に充電しているのです。