その他
2024.05.08
あなたの世界をちょっとヨクスル~リチウムイオン電池・業界編 その2~
前回、「世界のリチウムイオン電池需要の約7割が車載用」とお話ししました。しかし、ブルームバーグNEFによれば、今後8割以上へとシェアを拡大する見通しです!そこで今回は、スワコーが提供する断熱材や緩衝材、熱伝導シートといった部材が欠かせない車載用リチウムイオン電池のマーケットに注目します!
車載用リチウムイオン電池の「これまで」
ニッケル水素電池に代わって一気に主役に!
「日本で電気自動車と言えば?」との問いに、トヨタ自動車の「プリウス」をイメージする人は多いでしょう。実はこの「プリウス」、1997年に搭載された「二次電池」は「ニッケル水素電池」(松下電池工業と三洋電機が世界で最初に量産化に成功)でした。
現在の主力であるリチウムイオン電池が乗用車に初導入されたのは、12年後の2009年。三菱自動車の「アイミーブ」に導入されました。ここから一気に車載用リチウムイオン電池の普及が進み、世界中の電気自動車の大多数に採用されるようになりました。
車載用リチウムイオン電池の「いま」
拡大し続ける市場を中国が席巻
矢野経済研究所が公表した車載用リチウムイオン電池の世界市場の調査結果によると、2023年の世界市場規模(容量ベース)は対2022年比124.5%の775GWh。対前年比の増加率の推移を見ると、
2018年 95.8%増
→2019年 18.3%増
→2020年 26.3%増
→2021年 120.4%増
→2022年 68.0%増
→2023年 24.5%増
と、数値に差はあれども増加し続けており、市場は拡大の一途を辿っています。
そして、エコノミスト掲載の「車載電池搭載量世界シェア上位10社」(2022年1~7月ベース)は、1位(CATLの347.7%)、3位(BYDの12.6%)、そして7~10位(CALVの4.2%、国軒高科の2.9%、Sunwodaの1.6%、SVOLTの1.3%)と6割が中国企業。ちなみに2位は韓国のLGエナジー(14.2%)。日本は4位のパナソニック(8.7%)のみのランクインです。
車載用リチウムイオン電池の「これから」
矢野経済研究所は車載用リチウムイオン電池の世界予測(容量ベース)を、「成長率高めのAggressive(政策ベース)予測」と「成長率低めのConservative(市場ベース)予測」の2つのシナリオで公表。
Aggressive予測では「各国政府の電気自動車導入目標台数がほぼ計画通り実現」を想定したうえで、
2025年 1248GWh
→2030年 2241GWh
→2035年 3164GWh
Conservative予測では成長率を低めに設定し、
2025年 989GWh
→2030年 1536GWh
→2035年 2231GWh
このように今後も車載用リチウムイオン電池市場は右肩上がりで成長を続ける見通しです。すなわち、電池に不可欠な断熱材や緩衝材、熱伝導シートといった部材の需要も増加が見込まれまず。加えて、より高い安全性の確保のために、断熱材、緩衝材、熱伝導シートといった部材にはより高い品質が求められることは間違いありません。
———————————————
電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池には「小型で軽量ながら大量の蓄電が可能」「充電可能」「長寿命」といったメリットがあります。一方で難点も。その1つが発火の危険性です。たとえば車両が事故を起こしてリチウムイオン電池にダメージが加わった場合、熱暴走によって発火につながる恐れも。対策のために車載リチウムイオン電池には絶縁体や熱電熱シートといった部材が欠かせません。