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2026.08.04
グラファイトシートの加工|スマートフォン・電子機器の熱拡散を支える部材設計
スマートフォンやタブレット、小型電子機器では、高性能化と薄型化が進んでいます。限られた筐体内にCPU、カメラ、通信部品、バッテリーなどが集約されるため、局所的に発生する熱を効率よく広げる設計が欠かせません。
その熱対策に用いられる材料の一つが、グラファイトシートです。ただし、材料の熱特性が優れていても、加工時の割れや粉落ち、貼合のズレがあると、安定した部材として組み込むことが難しくなります。
加工では、形状だけでなく、貼り合わせる材料や実装方法、搬送・梱包まで含めた検討が重要です。
グラファイトシートが熱拡散に使われる理由
グラファイトシートは、熱をシートの面方向(XY方向)へ効率よく広げる特性を持つ材料です。発熱源の周辺に集中した熱を広い範囲へ拡散し、筐体や放熱部材へ逃がします。
薄く軽量で、狭いスペースにも配置しやすいため、主に次のような製品で使用されています。
- スマートフォン・タブレット
- ノートパソコン・小型ゲーム機
- カメラ・ディスプレイ
- CPUやバッテリーの周辺
一般的なグラファイトシートは、面方向(XY方向)の熱拡散を得意とする材料です。
一方で近年は、厚み方向(Z方向)への熱伝導を高めたグラファイト材料も開発されています。これらは発熱部品からヒートシンクや冷却部材へ熱を効率よく伝える用途で採用されることがあり、従来の面方向に熱を広げるタイプとは役割や設計思想が異なります。
そのため、熱を「広げたい」のか、「別の部材へ伝えたい」のかによって、適した材料や加工方法を選定することが重要です。
グラファイトシート加工で注意したい4つのポイント
1.割れ・欠けを抑えた形状設計
グラファイトシートは薄く柔軟に扱える一方、層状の材料であるため、加工条件によって端部の欠けや割れが発生します。
特に、細幅部分、鋭角、狭いピッチの穴、複雑な輪郭は負荷が集中しやすい形状です。角部に丸みを持たせる、極端な細幅を避けるなど、加工性を考慮した形状設計が品質の安定につながります。
2.粉落ち・層間剥離への対策
切断面などから微細な粉が発生すると、電子部品への異物付着や組立工程での不具合につながる可能性があります。
対策として、加工条件の調整に加え、PETフィルムや保護フィルムで表面・端部を覆うラミネート加工が検討されます。ただし、被覆範囲を広げすぎると、グラファイトの有効面積が小さくなる場合があります。
粉落ち防止・絶縁性・熱拡散面積のバランスを見ながら構成を決めることが大切です。
3.両面テープや絶縁フィルムとの貼合
実装時には、グラファイトシートに両面テープ、PETフィルム、絶縁フィルム、剥離ライナーなどを組み合わせることがあります。
グラファイトは導電性を持つため、回路や端子の近くで使用する場合は絶縁対策も必要です。貼合構成によって総厚、柔軟性、固定しやすさが変わるため、使用環境や組立工程を事前に共有することが重要です。
4.搬送・梱包まで含めた品質管理
加工後の部材は、擦れ、重なり、曲げによって傷みやすいため、納品形態も品質に影響します。実装方法に応じて、次のような供給方法を検討します。
- シート納品
- キャリア材付き
- 個片トレー
- リール供給
自動貼付を予定している場合は、剥離性、ピッチ、送り方向、位置決め基準まで確認しておくと、量産時のトラブルを抑えやすくなります。
ご相談時に共有いただきたい情報
グラファイトシート加工をご相談いただく際は、次の情報があると検討がスムーズです。
- 材料の種類・厚み
- 完成形状と必要数量
- 発熱源と熱を逃がしたい方向
- 貼り付け先の材質
- 絶縁の要否
- 実装方法・納品形態
スワコーでは、熱拡散グラファイトシートのラミネート加工に対応しています。形状加工だけでなく、フィルムや両面テープとの貼合、加工後の取り扱い、量産時の供給方法まで含めてご相談ください。
スマートフォンや小型電子機器の熱対策では、安定して加工できること、異物を抑えて組み込めること、量産工程へスムーズに供給できることが重要です。開発初期から加工条件をすり合わせることで、性能と生産性を両立した部材設計につながります。
