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2026.08.31
リチウムイオン電池の振動・衝撃対策|緩衝材・スポンジ加工のポイント
電気自動車(EV)や産業機器に搭載されるリチウムイオン電池は、熱対策だけでなく「振動」と「衝撃」への備えも欠かせません。走行中の絶え間ない揺れや、路面からの突発的な衝撃は、バッテリーパック内部のセルや基板に少しずつダメージを蓄積させ、長期的な信頼性を損なう原因となります。
本記事では、EV・産業機器の設計担当者の方に向けて、リチウムイオン電池の振動・衝撃対策における緩衝材・スポンジの選定と加工のポイントを整理します。
振動・衝撃がバッテリーに与える影響
リチウムイオン電池のパック内部では、次のような物理的ストレスが常に発生しています。
- セルの膨張・収縮:充放電のたびにセルはわずかに膨らみ、縮みます。この寸法変化を吸収できないと、隣接部品との間に過大な荷重が生じます。
- 振動による摩耗:定常的な振動で部品同士が擦れ合い、絶縁被覆やコネクタが摩耗するリスクがあります。
- 衝撃の伝搬:外部からの衝撃がそのままセルへ伝わると、内部短絡や性能劣化を招くおそれがあります。
これらを防ぐのが、セル間・部品間に配置する緩衝材(衝撃吸収材)の役割です。適切なスポンジ加工品を配置することで、パック全体の構造的ストレスを大きく低減できます。
緩衝材・スポンジ選定で確認したい3つの物性
用途に合ったスポンジ加工を実現するには、まず材料の物性を見極めることが重要です。設計段階で次の3点を押さえておくと、後戻りのない部材選定につながります。
1. 材料硬度
硬度は、緩衝材がどの程度の荷重で潰れるかを左右します。硬すぎると衝撃を吸収しきれず、柔らかすぎると必要な保持力が得られません。セルの膨張圧や実装スペースを踏まえ、最適な硬度域を選ぶ必要があります。
2. 反発性
反発性は、荷重が抜けたときに元の形へ戻ろうとする力です。反発が高い素材はセルの膨張・収縮への追従に優れますが、強すぎると常時セルへ荷重をかけ続けることにもなります。振動対策と保持力のバランスを、用途ごとに見極めることが求められます。
3. 圧縮永久歪み
長期間圧縮された緩衝材が、どれだけ元の厚みに戻れるかを示すのが圧縮永久歪みです。この値が大きい素材は経年でヘタり、緩衝性能が低下します。車載のように10年単位の使用が前提となる場合、特に重視すべき特性です。
これらの物性を踏まえ、シリコーン系スポンジや高機能ウレタンフォームなど、目的に合った素材を選定していきます。
形状提案と貼合加工でさらに最適化
物性の選定に加えて、「形状」と「取り付け方法」も対策の精度を大きく左右します。
- 形状提案:パック内の限られたスペースに合わせ、切り欠きや複雑な輪郭を含む形状をダイカットで再現します。設計段階からご相談いただければ、潰れしろを見込んだ寸法のご提案も可能です。
- 貼合(両面テープ加工)の有無:組み付け工程を簡略化したい場合は、あらかじめ両面テープを貼合した状態で納品できます。位置決め精度の向上と作業工数の削減につながります。
柔らかく厚みのある素材は加工時に歪みやすいため、材料特性に合わせた刃型選定と圧力管理によって、設計どおりの寸法精度を保つことが欠かせません。
振動・衝撃対策は「素材選定」と「加工精度」の両輪で
リチウムイオン電池の振動・衝撃対策は、緩衝材の物性選定と、それを設計どおりに仕上げる加工精度の両方がそろって初めて機能します。
スワコーでは、シリコーン系・ウレタン系をはじめとする多様な高機能スポンジの精密加工に対応しています。硬度・反発性・圧縮永久歪みといった物性面のご相談から、形状提案・貼合加工まで、設計担当者さまの課題に合わせてご提案いたします。
「どの素材を選べばよいか分からない」
「潰れしろの設計から相談したい」
という段階からでも、図面や使用条件とあわせてお気軽にお問い合わせください。
