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2026.07.24
シリコーン系熱伝導シートの加工|厚み・柔らかさ・抜き精度を両立するには
電子機器の高性能化や車載バッテリーの大容量化が進むなかで、「発熱をどう逃がすか」は設計の成否を左右するテーマになっています。
CPUやGPU、パワー半導体、リチウムイオン電池などは、動作温度が上がるほど性能や寿命に影響が出やすくなります。
そこで発熱部品とヒートシンク(放熱板)の間に挟み、熱を効率よく伝える役割を担うのが、シリコーンシートを中心とした熱伝導シート(TIM:Thermal Interface Material)です。
放熱材として広く使われる一方、この材料は「柔らかい」「厚みがある」「表面に粘着性がある」という、加工の難しい特性を併せ持ちます。
本記事では、熱伝導シート加工でつまずきやすいポイントと、精度を両立させるための勘所を整理します。
熱伝導シートが放熱で果たす役割
発熱部品と放熱板の接触面には、目に見えない微細な凹凸や空気層が存在します。
空気は熱を非常に伝えにくいため、この隙間を埋めなければ、せっかくの放熱設計も十分に機能しません。
熱伝導シートは、この空隙を柔軟に埋めて熱の通り道をつくる部材です。
シリコンにフィラー(熱伝導性の充填材)を配合することで、高い熱伝導率と柔らかさを両立させています。
EVの電池冷却では、セルやモジュールと冷却プレートの間に大面積で敷き込むギャップフィラーとしても採用が広がっています。
TIM加工が難しい3つの理由
熱伝導シートの加工が一般的なフィルムと異なるのは、材料そのものの性質にあります。
| 材料の特性 | 加工上の課題 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 柔らかい(低硬度) | 刃で押すと変形し、寸法が安定しにくい | 送り・固定の最適化、切れ味の維持 |
| 厚みがある | 一度で切り抜きにくく、端面が乱れやすい | 材料に合わせた刃型・加工条件の選定 |
| 表面に粘着性がある | 刃への付着や糸引き、剥離不良が起きやすい | 台紙構成の工夫、抜き方式の見直し |
これらは単独ではなく、複合して現れる点が厄介です。
柔らかく厚い材料を、変形させずに狙った寸法へ仕上げるには、材料特性を踏まえた加工設計が欠かせません。
柔らかく厚い材料をきれいに抜くための要点
シリコーンシートの抜き精度を安定させるうえで、特に重要になるのが次の3点です。
- 刃型の選定と切れ味の維持:
厚みや硬度に合った刃を選び、切れ味を保つことでバリや変形を抑えられます。
試作段階では、コストを抑えやすい刃型で形状を検証する進め方も有効です。 - 材料の固定と送り制御:
柔らかい材料は張力や押さえ方でわずかに伸縮します。
安定して固定することで、寸法のばらつきを小さくできます。 - 台紙・キャリアフィルムの活用:
粘着面を台紙で保護したまま加工すれば、剥離不良や刃への付着を軽減しやすくなります。
ハーフカットで必要な部材だけを剥がせる形にすると、後工程の扱いもスムーズです。
放熱設計全体を見据えた加工へ
熱対策部品は、熱伝導シート単体で完結しないケースも少なくありません。
たとえば熱拡散用のグラファイトシートを他材料と貼り合わせるラミネート加工や、発熱量の大きい部品向けのヒートパイプ・ベイパーチャンバー(VC)まで含めると、選択肢は大きく広がります。
スワコーでは、シリコーン系・アクリル系の放熱ゴムシートのカット加工に加え、グラファイトシートのラミネート加工にも対応しています。
LEDやECU、CPU・GPU周辺、蓄電池、基地局など、シビアな放熱が求められる用途での加工実績を重ねてきました。
材料の選定から形状・数量に応じた工法まで、放熱設計全体を見据えたご提案が可能です。
加工相談前に整理しておきたい情報
熱伝導シートの加工をご相談いただく際は、次の情報があると具体的な検討が進めやすくなります。
| 確認したい項目 | 具体例 |
|---|---|
| 材料 | メーカー名・品番、熱伝導率、厚み、硬度、粘着層の有無 |
| 形状・寸法 | 製品形状、寸法公差、細部や薄肉部の有無 |
| 数量 | 試作数量と量産予定ロット、立ち上げ時期 |
| 用途・環境 | 実装箇所、要求される放熱性能やクリーン度 |
「柔らかい熱伝導シートがうまく抜けない」「厚みのある放熱材を安定した寸法で量産したい」といった課題は、材料に合わせた加工設計で解決できるケースが多くあります。
TIM加工でお悩みの際は、ぜひスワコーの精密抜き加工技術をご活用ください。
