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2026.08.25

リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐセル間断熱材|延焼を抑える部材設計

リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐセル間断熱材|延焼を抑える部材設計

EVや定置用蓄電池の開発において、安全性の要となるのが「熱暴走」への対策です。
1つのセルで発生した異常発熱を、いかにそのセル1つで食い止めるか
この「延焼防止(プロパゲーション対策)」の考え方が、電池パック設計の前提になりつつあります。

その中核を担う部材が、セル間断熱材です。
ここでは、リチウムイオン電池のセル間断熱材に求められる機能と、材料選定から加工までを見据えた部材設計の考え方を整理します。

熱暴走はなぜ「隣のセル」へ広がるのか

熱暴走は、内部短絡や過充電、外部からの衝撃などをきっかけに、セル内部の発熱反応が連鎖的に進む現象です。
一度発生すると数百℃に達し、ガスの噴出や発火に至るケースもあります。

問題は、その熱が隣接セルへ伝わることです。
隣のセルが臨界温度を超えれば、そのセルもまた熱暴走を起こし、パック全体へと連鎖していきます。

近年の電池パックはエネルギー密度を高めるため、セルを密に配置する構造が主流です。
セル同士の距離が縮まるほど熱は伝わりやすくなり、セル間断熱材による熱の遮断が、パック全体の安全性を左右する構造になっています。

セル間断熱材に求められる4つの機能

セル間に挟み込む部材は、単に「熱を通しにくい」だけでは不十分です。
実際の電池パック断熱材には、複数の機能が同時に求められます。

  • 断熱性
    異常発熱時に隣接セルへの熱移動を遅らせ、拡大を防ぐ時間を稼ぐ
  • 耐熱性・難燃性
    数百℃の高温やガスに曝されても形状と機能を保つ
  • クッション性
    充放電のたびに生じるセルの膨張・収縮(スウェリング)を吸収する
  • 電気絶縁性
    セル間の絶縁を確保し、短絡リスクを抑える

特に見落とされやすいのがクッション性です。
断熱性能だけを追い求めて硬い材料を選ぶと、セルの膨れを逃がせず、セル自体に応力がかかって寿命を縮めてしまうことがあります。

代表的な材料と特性の考え方

セル間断熱材として検討される材料には、それぞれ得意分野があります。

材料系 主な特徴 検討時の留意点
マイカ(雲母)系 高い耐熱性と絶縁性 硬く、膨れ吸収性は期待しにくい
エアロゲル系 薄くても高い断熱性能 粉落ちや取り扱い性への配慮が必要
セラミック繊維系 高温域での形状保持に優れる 単独ではクッション性が不足しやすい
シリコーンフォーム系 圧縮回復性と難燃性を両立 単層では断熱性能が不足する場合がある
樹脂フィルム系 絶縁層・保護層として薄膜化しやすい 高温耐性は材質により大きく異なる

実際の設計では、単一材料で全機能をまかなうより、異なる特性の材料を積層して補い合う構成が有効です。
たとえば、断熱層を耐熱フィルムで挟んで粉落ちを抑えつつ、クッション層を組み合わせることで、断熱・絶縁・膨れ吸収を1枚の部材にまとめられます。

部材化・加工の段階で起きやすい課題

材料が決まっても、それを「使える形」に仕上げる工程でつまずくケースは少なくありません。
EV バッテリー向け部材では、次のような点が加工の難所になります。

  • 圧縮による寸法変化
    柔らかい発泡材は抜き加工時に潰れやすく、狙いの寸法に収まらないことがある
  • 粉落ち・繊維の飛散
    無機系材料は切断面から発塵しやすく、クリーン度が求められる工程では対策が要る
  • 積層時のズレ
    複数材料を貼り合わせる際、層間の位置精度が製品精度を決める
  • タブ穴・切り欠き形状
    細い部分や小さな穴は、刃型の選定と加工条件が仕上がりを左右する

こうした課題は、材料単体の性能表からは見えてきません。
図面が固まる前の段階で加工性を織り込んでおくことが、量産での手戻りを防ぐ近道になります。

相談時に整理しておきたい情報

熱暴走 対策の部材をご相談いただく際、次の情報があると具体的な検討に進みやすくなります。

確認したい項目 具体例
使用環境 想定温度域、異常時に求める耐熱レベル
要求機能 断熱・絶縁・クッションの優先順位
形状・寸法 外形、穴・切り欠き、厚み、寸法公差
セル情報 セル形状(角形・パウチ等)、膨れ量の想定
数量・納期 試作数量、量産予定ロット、立ち上げ時期
納品形態 個片、シート、ロール、セパレーターの有無

安全性を支える部材づくりを、加工の視点から

セル間断熱材は、materialの性能と、それを形にする加工技術の両方が揃って初めて機能します。
優れた断熱材でも、寸法が安定しなければ組み付けられず、発塵が止まらなければ工程に載せられません。

スワコーは、プラスチックフィルム、樹脂シート、発泡材、粘着テープなど、多様な薄物材料の精密抜き加工と貼り合わせを手がけてきました。
材料の選定段階から、積層構成や面付け、加工方法までを含めてご提案できます。

「この断熱材を狙いの形状で安定して抜けるか知りたい」
「複数の材料を1枚の部材にまとめたい」

といったご相談は、ぜひスワコーまでお気軽にお問い合わせください。

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