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2026.07.06
フィルム・不織布のスリット加工|幅精度と端面品質を安定させるポイント
ロール状のフィルムや不織布を、用途に合わせた幅へ切り分ける「スリット加工」。
製品の形状をつくる抜き加工とは異なり、長尺の材料を流れ方向に連続して切断し、再びロール状に巻き取る加工です。
一見すると単純な切断工程に見えますが、幅寸法のばらつきや材料の蛇行、端面のバリ、巻きずれなど、さまざまな不具合が起こる可能性があります。
安定した仕上がりを得るには、材料の性質に合わせて、刃物や張力、巻き取り条件を調整することが重要です。
スリット加工とは
スリット加工とは、幅の広いロール材を長手方向へ切断し、指定された幅のロールへ仕上げる加工方法です。
フィルム、粘着テープ、不織布、紙、複合シートなどに用いられ、貼り合わせや印刷、抜き加工、製品への組み込みといった後工程に適した幅へ整える目的があります。
代表的な加工方法には、巻かれたロールを外周から輪切りにする方法と、原反を送り出しながら刃物で切断し、別の軸へ巻き直すリワインダー方式があります。
ロールを輪切りにする方法は比較的簡易的ですが、より高い寸法精度が必要な場合は、材料を走行させながら切断するリワインダー方式が選ばれます。
現場の声Q&A|加工方法による幅精度の違い
Q.大根切りとリワインダーでは、幅精度にどのような違いがありますか?
A.現場での目安は、大根切りがおおむね±1mm程度、リワインダーが±0.3mm以内です。
巻かれたロールをそのまま輪切りにする方法を、現場では「大根切り」と呼んでいます。
一方、リワインダーは、材料を送り出しながら切断し、別の軸へ巻き直す方法です。
ただし、実際に得られる精度は、材料の厚みや硬さ、原反の状態、仕上げ幅などによって変わります。
必要な寸法公差を加工前に共有し、条件に合った加工方法を選ぶことが大切です。
(スワコー 技術担当者)
幅精度を左右する材料の走行と張力
スリット加工では、材料を刃物に対してまっすぐ、安定して走行させる必要があります。
材料にたるみや波打ちがあると、刃物に当たる位置が変動し、仕上げ幅にばらつきが生じます。
さらに、走行中の張力が左右で異なる場合は、材料が蛇行し、巻き取り時のずれやシワにつながることがあります。
そのため、材料を複数のローラーに通して波打ちを抑え、適切な張力を保ちながら刃物へ送ります。
現場の声Q&A|巻きずれを防ぐ加工前の段取り
Q.巻きずれや端面の不ぞろいを防ぐために、加工前に重視していることは何ですか?
A.加工開始前に、送り出し側と巻き取り側の位置を平行に合わせることです。
材料がまっすぐ走る状態をつくるため、材料のたるみやローラーの位置、巻き取り軸との平行を確認します。
最初の段取りがずれていると、加工中に調整しても、巻きずれや端面の不ぞろいが残ることがあります。
刃を入れる前に位置関係を整えることが、安定した巻き取りにつながります。
(スワコー 製造担当者)
端面品質を安定させる刃物管理
スリット後の端面にバリや毛羽立ち、白化などが発生する場合は、刃物の状態や刃合わせが材料に合っていない可能性があります。
PETフィルムのような単一素材では、上下の刃物の間隔や重なり方が端面品質を左右します。
刃物の位置が適切でないと、材料をきれいに切断できず、押しつぶしたり、引き裂いたりするような状態になることがあります。
また、刃先の摩耗や異物の付着も、切断面が粗くなる原因です。
安定した品質を保つには、刃物の状態を確認し、必要に応じて清掃や研磨を行うことが重要です。
現場の声Q&A|粘着材を切るときの刃物管理
Q.両面テープなど、粘着層を含む材料をスリットするときの注意点は何ですか?
A.刃先への糊の付着を確認し、切れ味が低下した場合は清掃や研磨を行うことです
粘着層を含む材料では、加工を続けるうちに糊成分が刃先へ付着します。
そのまま加工すると切れ味が低下し、端面のべたつきやバリ、切断不良につながるため注意が必要です。
フィルムの種類だけでなく、粘着層や表面処理の有無も確認し、材料の構成に合わせて刃物の状態を管理します。
(スワコー 製造担当者)
不織布のスリット加工で注意すること
不織布は、繊維を絡み合わせたり接着したりして形成された柔軟な素材です。
ロール方向や幅方向に伸びやすいものもあり、素材の特性に合わせた張力管理が求められます。
張力が強すぎると、加工中に素材が伸び、巻き取り後の収縮によって幅寸法が変わることがあります。
反対に、張力が弱すぎると、たるみや蛇行、巻きずれが起こりやすくなります。
また、刃物の切れ味が低下すると、繊維がきれいに切断されずに引っ張られ、端面に毛羽立ちやほつれが発生する可能性があります。
不織布は、厚みや目付、繊維の種類、結合方法などによって加工性が大きく異なります。
そのため、加工を依頼する際は、事前に素材の仕様やサンプルを確認し、必要に応じて試作を行うことが大切です。
巻き取り品質も確認する
スリット加工は、指定幅に切断できれば完了というわけではありません。
後工程で問題なく使用するためには、巻き取り後の状態も重要です。
巻き取り位置がずれていると、ロールの端面が不ぞろいになります。
また、張力が強すぎると材料に変形や巻き癖が残り、弱すぎると巻き緩みやロール崩れにつながります。
原反に偏芯や巻き癖がある場合は、その状態が加工後のロールにも影響します。
加工条件だけでなく、支給された原反の巻き姿や保管状態を事前に確認することも欠かせません。
まとめ
フィルムや不織布のスリット加工では、幅寸法だけでなく、端面品質や巻き取り状態まで含めて条件を整える必要があります。
幅精度を安定させるには、材料をまっすぐ走行させ、適切な張力を保つことが重要です。
端面のバリや毛羽立ちを抑えるには、素材に合った刃合わせと、刃物の状態に応じた清掃や研磨が欠かせません。
材料の特性や必要精度によって、適切な加工方法や条件は異なります。
ロール材の幅変更やロールtoロール加工を検討する際は、素材情報や図面、サンプルを用意し、加工会社と事前に条件をすり合わせることが、安定した品質につながります。
スワコーでは、フィルムや粘着テープなどの支給材について、素材の仕様や必要な幅精度を確認しながら、スリット方法や加工条件を検討しています。
ロール材の幅加工や、後工程に合わせた巻き取りについてお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
